How it works
株主優待と配当政策のデータの作り方
このページで分かること
- check_circle株主優待を「基準月 × 株数 × 保有年数」の条件ごとに、版の履歴つきで記録する仕組み。
- check_circle配当政策を配当性向・DOE・下限などに分けて構造化し、原文と照合してから公開する手順。
- check_circle難しいところ、判断の決まり、データの読み方、API での提供状況。
件数は 2026 年 10 月 20 日時点の集計です。
件数は 2026 年 10 月 20 日時点の集計です(掲載社数は 2026 年 10 月 19 日 の一覧のもの)。掲載社数は、優待制度を持つ会社全体に対する網羅率ではありません。一覧に無い会社が「優待なし」とは限りません。
1. なぜ大事で、なぜ良いデータが少ないのか
株主優待と配当政策は、個人投資家が銘柄を調べるときによく見る情報です。それなのに、表として正しく扱えるデータはあまりありません。
知りたいのは「条件」
優待で知りたいのは「何がもらえるか」だけではなく、「何月に、何株以上を、何年以上持っていれば、何がもらえるか」です。名前だけのデータでは、この条件が分かりません。
方針は文章で書かれている
配当政策は、有価証券報告書(有報)などに文章で書かれています。方針は数字 1 つとは限りません。下限・目安・複数の指標の組み合わせが、文章の中に入っています。
変わるのに、履歴が残らない
優待も配当政策も、新設・変更・廃止が開示で知らされます。最新の内容だけを持つデータでは、いつから何が変わったのかを追えません。
2. 株主優待
優待は、会社が書いた条件どおりに、4 つの層に分けて記録しています。
account_treeデータの形: 制度 → 版 → 条件 → 品目
1 つの会社の優待を「制度」とし、内容が変わるたびに新しい「版」を作ります。版の中に「条件」の行があり、条件ごとに「品目」がつながります。条件の 1 行は「この基準月(権利確定の基準となる月)に、この株数以上、この保有年数以上の株主」という意味です。
- folder_open制度1,878
会社の優待のまとまり。1 社に複数の制度があることもあります。
- history版3,050
ある日から有効な優待の内容。現行・予定・過去・廃止を区別し、過去の版も履歴として残します。
- tune条件11,498
基準月 × 最低株数 × 最低保有年数の 1 行。長期保有の上乗せもここで表します。
- redeem品目15,491
条件ごとにもらえるもの。金額は会社が書いている場合だけ記録します。
右上の数字は 2026 年 10 月 20 日時点の件数です。制度は 1,679 社ぶんあります。
table_rows条件の例(説明用の架空の会社)
たとえば、ある会社の優待が次のように書かれていた場合、条件は 3 行になります。同じ 100 株でも、3 年以上持っている株主には別の行が当たります。
| 基準月 | 最低株数 | 最低保有年数 | 品目 |
|---|---|---|---|
| 3 月 | 100 株以上 | 条件なし | 自社製品の詰め合わせ(会社の記載: 1,000 円相当) |
| 3 月 | 100 株以上 | 3 年以上 | 自社製品の詰め合わせ(会社の記載: 2,000 円相当) |
| 9 月 | 500 株以上 | 条件なし | 自社店舗の割引券 5 枚(金額の記載なし → 空欄) |
この表は説明のための架空の例で、実在の会社の優待ではありません。
bar_chart規模
2026 年 10 月 20 日時点で、制度 1,878 件(1,679 社)、版 3,050 件、条件 11,498 行、品目 15,491 件を記録しています。照合を終えた版は、現行 1,625 件・予定 232 件・過去 1,185 件・廃止 7 件です。公開中の一覧には 1,646 社が載っています(2026 年 10 月 19 日時点)。内訳は、現行の優待がある会社 1,491 社と、予定の版だけがある会社 155 社です。また、優待が無いと公式資料で確かめた 86 社を「優待なし(確定)」として記録しています。
psychology_altなぜ難しいか
書式が会社ごとに違う
株数 × 保有年数の表、「100 株につき 3 枚」のような式、品目を選ぶ選択式、長期保有で品目が増える上乗せが、会社ごとに違う形で混ざっています。
保有期間の条件が多い
条件の行の約 51% に保有年数の条件があります。「N 年以上」「N 回連続で株主名簿に記載」「同じ株主番号で継続」は別々の条件なので、互いに換算せず、書かれた形で記録します。
変更・廃止は開示で起きる
優待の新設・変更・廃止は、適時開示(TDnet)などで知らされます。お知らせのたびに新しい版を作り、前の版は履歴として残します。
基準日をまたぐと「現行」が変わる
変更が発表されても、すぐに適用されるとは限りません。基準日の前後で、どの版が「現行」でどの版が「予定」かが入れ替わります。
gavel判断の決まり
迷いやすいところは、先に決まりを作り、すべての会社に同じように当てはめています。
- check_circle自社の店舗やサービスの割引率だけの優待も、優待として扱います。
- check_circle公式資料に優待の詳細が載っていない会社は「優待なし(詳細非公表)」として扱います。外部のサイトにしか無い内容は採りません。
- check_circle抽選でしか受け取れないものは、優待として入れません。
- check_circle保有期間の条件は、書かれた形(年数・連続記載の回数・株主番号の継続)のまま記録し、互いに換算しません。
- check_circle金額は会社が書いたものだけを記録します。書かれていない品の金額は推定せず、空欄にします。
conveyor_belt集め方と確かめ方
情報源は、会社自身が出した資料だけです。
- 適時開示(優待の新設・変更・廃止)
- 有報の「株主に対する特典」
- 会社の IR ページ
- 1
毎朝、新しい開示を拾う
毎朝 5:30(日本時間)に、自動の処理が新しい開示を集めます。
- 2
生成 AI が下書きを作る
開示の本文から、版・条件・品目の下書きと、根拠になる原文の引用を作ります。下書きはまだ公開用のデータには書き込みません。
- 3
機械で検査する
引用が原文の中にそのまま連続して実在するか、株数・保有年数の境界が合っているか、品目と条件の対応が取れているかを機械で確かめます。
- 4
原文と照らし合わせる
人または AI エージェントが原文と照らし、現行かどうか・基準日・株数・保有期間・条件と品目の対応・選択式や上乗せ・漏れが無いか、の 7 項目を確かめて記録を付けます。
- 5
記録がそろった版だけ公開
7 項目の記録がそろった版だけを公開します。判断が付かず保留になった版は公開しません。
週に 1 回、外部の情報と突き合わせる
週に 1 回、外部の優待情報サイトと機械で突き合わせ、当社に無い会社や内容の食い違いを見つけて、1 社ずつ原文で確かめ直します。外部のサイトは二次資料なので、突き合わせの結果で当社のデータを書き換えることはしません。漏れや誤りを探すための点検です。
3. 配当政策
配当政策は、会社が書いた方針の文章を、指標・数値・条件に分けて構造化し、根拠の原文を添えて公開しています。
bar_chart規模
2026 年 10 月 20 日時点で、現行の配当政策を API で取れる会社(上場中の会社)は 3,751 社です。そのうち数値の目標や下限を持つ会社は、種類ごとに次のとおりです。
| 種類 | 意味 | 会社数 |
|---|---|---|
| 配当性向 | 利益のうち配当に回す割合の目標や下限。 | 1,172 |
| DOE(株主資本配当率) | 株主資本に対する配当の割合。利益が振れても配当が大きく動きにくい指標。 | 433 |
| 総還元性向 | 配当に自社株買いを足した還元の割合。配当性向とは別の指標として扱います。 | 205 |
| 累進配当(明示) | 「減配せず、維持または増配する」と明記している方針。 | 304 |
| 下限の金額 | 「1 株あたり年 ◯ 円を下限とする」のような金額の下限。 | 181 |
| 複合条件 | 「配当性向 ◯% または DOE ◯% のいずれか高い方」のように、複数の指標を組み合わせた方針。 | 97 |
1 社が複数の種類に当てはまることがあるので、合計は社数になりません。残りは「安定的な配当を続ける」「内部留保を優先する」など、文章だけの方針です。
psychology_altなぜ難しいか
1 つの文に新旧が同居する
同じ文の中に、これまでの方針・今期の実績・来期からの新しい方針が並んでいることがよくあります。どれが「いまの方針」かを読み分けます。
「下限」と「目標」を区別する
「下限」「下限の目安」「目標」は意味が違います。書かれた強さのまま記録し、強めて書き換えません。
「増配に努める」は累進配当ではない
減配しないと約束していない方針を、累進配当として扱いません。累進配当は明記されている場合だけです。
総還元性向は配当性向と別
自社株買いを含む総還元性向の数値を、配当性向として扱いません。
「いずれか高い方/低い方」
「いずれか高い方」なら両方の指標を下限として、「いずれか低い方」なら両方を上限として扱います。数値 1 つに潰しません。
書いていない ≠ 方針なし
有報に数値の目標が書かれていないことは、方針が無いことを意味しません。「記載なし」と「方針なし」を区別します。
conveyor_belt作り方
出典は、有報の「配当政策」の節と、新規上場会社の適時開示です。2026 年 10 月 20 日時点で、それぞれ 21,202 版・15 版を読み込んでいます。生成 AI の下書きを原文と照合してから公開します。
- 1
毎朝、変化を見つける
毎朝 5:00(日本時間)に、有報の「配当政策」の節の文章が変わった会社を見つけます。
- 2
規則で候補を拾う
文章の中から、指標・数値・下限や目標の言い回しの候補を規則で拾います。
- 3
生成 AI が下書きを作る
候補と原文をもとに、指標・数値・条件と根拠の引用をそろえた下書きを作ります。
- 4
原文と照合する
下書きを原文と照らし、上の「なぜ難しいか」の決まりどおりになっているかを確かめます。
- 5
公開前の関門
引用には数値があるのに値が空になっている版など、形の合わない版は自動で止めます。
- 6
公開
照合と関門を通った版だけを公開します。
新しい版が通るまでは、前の方針を出し続けます
有価証券報告書が新しくなっても、新しい版が照合を通るまでは、公開済みの前の方針をそのまま出します。照合が済んでいない現行・予定の版は約 1,300 版あり(2026 年 10 月 20 日時点)、済むまで公開しません。
4. 一般的なデータとの違い
優待や配当の情報でよく見かける形と、ZENITH Code が持っている形を並べました。
| 項目 | 一般的なデータ | ZENITH Code |
|---|---|---|
| 優待の条件 | 優待の名前と、必要な株数が 1 つ | 基準月 × 最低株数 × 最低保有年数の条件ごとに、品目を記録 |
| 長期保有の上乗せ | 注記の文章の中に書かれていることが多い | 保有年数を条件の列として持つ(条件の行の約 51% に保有年数の条件) |
| 変更・廃止 | 最新の内容だけ | 版ごとに適用が始まる日を持ち、予定・過去・廃止の版も残す |
| 金額 | 金額の出どころが分からないことがある | 会社が書いた金額だけ。書いていない品は空欄 |
| 配当政策 | 配当性向の数値が 1 つ | 配当性向・DOE・総還元性向・累進配当・下限の金額・複合条件を分け、下限と目標を区別して、原文の引用を添える |
| 根拠 | 出典が示されないことがある | 適時開示・有価証券報告書・会社 IR の原文を根拠にし、外部サイトの内容は採らない |
「一般的なデータ」は、よく見かける形を一般化したもので、特定のサービスを指すものではありません。名前と株数だけの一覧には、ひと目で見比べやすいという良さもあります。
5. ここまでの経緯
いまの形になるまで、約 1 か月で 9 回の節目がありました。作ってみて分かった問題を、その都度、手順に組み込んでいます。
- 2026-09-20配当政策の取り込みを始める(最初の自動処理)。
- 2026-09-21その時点で取り込んだ配当政策を、すべて公開する。
- 2026-09-25公開済みの版を原文と答え合わせした結果を受けて、公開前に原文と照合する手順を必須にする。
- 2026-09-28株主優待を「制度 → 版 → 条件 → 品目」の 4 層で設計し直す。
- 2026-10-01優待の 1 社ずつの照合と、外部の情報との週次の突き合わせを始める。
- 2026-10-02優待データの公開を始める。
- 2026-10-11優待の一覧を、日ごとの世代つきのスナップショットにする。
- 2026-10-16新規上場会社の適時開示から、配当政策を取り込めるようにする。
- 2026-10-19週次の突き合わせの不具合を直し、初めて全件で最後まで回す。
6. API で使う
ZENITH Code の API での提供状況です。
api株主優待・配当政策のエンドポイント
このページで説明した構造化データを、4 本のエンドポイントで返します。1 社の優待(/stable/shareholder-benefits)、優待の一覧(/stable/shareholder-benefits-list)、1 社の配当政策(/stable/dividend-policy)、配当政策の一覧と絞り込み(/stable/dividend-policies)です。優待は「あり・なし・未確認」を区別し、金額は会社が書いたものだけを返します。配当政策は版・適用期・複合条件をそのまま返します。比率は 0〜1 の小数です。
description有報の「配当政策」の原文
有報の「配当政策」の節の原文は、いまも /stable/text-blocks で取得できます。引数 tag に dividend-policy を指定します。構造化していない原文のテキストです。
curl "https://api.zenithcode.net/stable/text-blocks?symbol=7203&tag=dividend-policy" \ -H "x-api-key: YOUR_API_KEY"
7. 注意点(データの読み方)
「分からない」と「無い」を混ぜないように、状態を分けて持っています。
- check_circle優待の有無は「あり」「なし(確定)」「不明」の 3 つで持ちます。一覧に載っていない会社や「不明」の会社を、「優待なし」とは扱いません。
- check_circle会社全体を確かめ終えたのか、一部だけなのかを区別します(2026 年 10 月 19 日 の一覧では、1,642 社が全体を確認済み、4 社が一部のみ確認)。
- check_circle金額の空欄は「会社が金額を書いていない」という意味で、0 円ではありません。品目のうち会社が金額を書いているのは約 61% です(2026 年 10 月 20 日時点)。
- check_circleどの版にも、適用が始まる日と、現行・予定・過去・廃止の区別があります。権利確定の前後では、予定の版もあわせて確かめてください。
- check_circle配当政策で数値の目標が無い会社は「記載なし」です。「方針なし」ではありません。
- check_circle新しい版が照合を待っている間は、前に公開した方針が表示されます。
8. よくある質問
投資家・開発者向け
一覧に載っていない会社は、優待が無いということですか?
いいえ。一覧に載っているのは、公式資料で優待の内容を確かめ終えた会社です(2026 年 10 月 19 日時点で 1,646 社)。これは網羅率ではなく、載っていない会社に優待が無いとは限りません。優待が無いと確かめた会社は「優待なし(確定)」として別に記録しています。
優待の金額が空欄なのはなぜですか?
会社が金額を書いていない品目だからです。金額は会社が書いたものだけを記録し、推定はしません。空欄は 0 円という意味ではありません。
優待情報サイトと内容が違うことがあるのはなぜですか?
ZENITH Code は会社自身の資料(適時開示・有価証券報告書・会社 IR)だけを根拠にしています。外部のサイトとは週に 1 回突き合わせますが、それは当社の漏れや誤りを探すためで、外部の内容でデータを書き換えることはしません。食い違いが見つかった会社は、原文で確かめ直します。
長期保有の優遇はどう表されていますか?
条件の 1 行が「基準月 × 最低株数 × 最低保有年数」になっていて、保有年数ごとに別の行として記録します。「N 年以上」「N 回連続で株主名簿に記載」などは書かれた形のまま記録し、互いに換算しません。
どのくらいの頻度で更新されますか?
新しい開示は毎朝、自動で拾います(優待は 5:30、配当政策は 5:00。日本時間)。ただし、原文との照合を終えた版から公開します。そのため、開示から公開までに時間がかかることがあります。
API で取得できますか?
はい。株主優待は /stable/shareholder-benefits(1 社)と /stable/shareholder-benefits-list(一覧)、配当政策は /stable/dividend-policy(1 社)と /stable/dividend-policies(一覧)で取得できます。有報の「配当政策」の節の原文も /stable/text-blocks(引数 tag=dividend-policy)で取得できます。
AI・研究者向け
配当政策は AI が判定しているのですか?
生成 AI は下書きを作る段階で使っています。下書きは原文と照合し、公開前の関門を通ったものだけを公開します。照合が済んでいない版は公開しません。
分析や機械学習に使うとき、「不明」と「なし」はどう扱えばよいですか?
優待の有無は「あり」「なし(確定)」「不明」の 3 つです。「不明」や一覧に無い会社を「なし」と数えると、優待のある会社の割合を低く見積もります。配当政策でも、「記載なし」は「方針なし」と同じではありません。
ある時点の内容を再現できますか?
優待の版には、適用が始まる日と、現行・予定・過去・廃止の区別があります。過去の版も履歴として残しているので、ある日にどの版が有効だったかを追えます。
このページの件数は、優待は 2026 年 10 月 20 日(一覧の掲載社数は 2026 年 10 月 19 日)、配当政策は 2026 年 10 月 20 日時点の集計です。優待の内容や配当の方針は、会社の判断で変更・廃止されることがあります。最新の内容は必ず各社の開示資料でご確認ください。データの正確性・完全性・適時性は保証されません。このページは投資の勧誘や助言を目的としたものではなく、投資の判断はご自身の責任で行ってください(利用規約)。

